『からすのパンやさん』にでてくるパンをくわしくかいせつします
67 すいかパン
昭和時代(しょうわじだいの前半(ぜんはん)、家庭(かてい)の冷蔵庫(れいぞうこ)には冷凍室(れいとうしつ)がありませんでした。
アイスクリームの保存(ほぞん)はできず、わずかな氷(こおり)をつくりことができる程度(ていど)でしたので、すいかは夏一番(なついちばん)のおやつでした。
甘味(あまみ)がますと塩(しお)をふって食(た)べたものです。
熱中症予防(ねっちゅうしょうよぼう)にはピッタリですね。
かこ先生がこどものころは、きっと井戸(いど)でひやしたのではないでしょうか。おみやげにすいかをもっていくこともよくありました。こんなようすは、昭和(しょうわ)の夏(なつ)そのものですね。
『こどもの行事しぜんと生活8月のまき』(小峰書店)より
すいかは大勢(おおぜい)で食(た)べるのにふさわしい大(おお)きさ。大勢(おぜい)で楽(たの)しむといえば、すいかわりもそのひとつです。
『とこちゃんはどこ』(福音館書店)では、とこちゃんもおもわず輪(わ)のなかにはいっています。
『こどものカレンダー8月のまき』(偕成社)にあるクイズです。
答(こた)えはいうまでもありません。
つぎに、すいかがでてくる「フルーツ王国物語(おうこくものがたり)」というお話(はなし)を『お話こんにちは1月の巻』(偕成社)からご紹介(しょうかい)しましょう。
むかし、フルーツ王国(おうこく)という国(くに)がありました。みんな平和(へいわ)にくらしていましたが、ある日(ひ)、にたいへんなことが起(お)こりました。
青(あお)あおとして美(うつく)しかったキュウリ女王(じょうおう)がきゅうになくなられてしまったのです。
メロン王様(おうさま)はかなしみのためか、ベッドに入(はい)ったきり起(お)きあがってきませんでした。
かわいい一人(ひとり)むすめのトマト姫(ひめ)もおかしなことをわめいたりするというので、お城(しろ)の塔(とう)のいちばん高(たか)い)部屋にとじこめられてしまいました。
「たいへんなことになりましたね」リンゴくんがお父(とう)さんのレモン大臣(だいじん)にいいました。
リンゴくんはいつもあそんでいたトマトちゃんのことをしんぱいしていました。
レモン大臣(だいじん)は「うーむ、どうもわからん。王様(おうさま)の身(み)にかわりがなければよいが⋯うーむ、これは、おかしいぞ。」
王様(おうさま)は、やがて、元気(げんき)になり、お城(しろ)の見晴(みは)らし台(だい)にでてきたので、みんなはよろこびの声(こえ)をあげました。
メロン王(おう)はこういいました。「のどがいたいが、だいじょうぶだから安心(あんしん)してもらいたい。」
「死(し)んだキュウリ女王(じょうおう)の葬式(そうしき)を来月(らいげつ)おこなう。それから、トマト姫(ひめ)は外国(がいこく)の病院(びょういん)にいれるのでお金(かね)もかかる。税金(ぜいきん)をあげなければならんな。」といって王様(おうさま)はお城(しろ)のなかに入(はい)っていきました。
そのようすをうしろで見(み)ていたレモン大臣(だいじん)は、パイナップル公爵(こうしゃく)に、ささやきました。
「やはりおかしい。王様(おうさま)は、なんだかお太(ふと)りになって、声(こえ)もちがう。びょうきのまえの王様(おおさま)とはちがう・・」
リンゴくんはおとうさんのレモン大臣(だいじん)が王様(おうさま)のことで「おかしい、おかしい」と考(かんがえ)えこんでいるのをみて「おとうさん、王様(おおさま)は前(まえ)より元気(げんき)になられたんだから、そんなに心配(しんぱい)しなくても・・」
「いや、やさしいメロン王様(おうさま)はむりに税金(ぜいきん)をとりたてるなど、なさるかたではない。
それにトマト姫(ひめ)は病気(びょうき)ではなく、王様(おうさま)の命令(めいれい)で、むりやりおしこめられているらしいのだ。
リンゴや、トマト姫(ひめ)のところへいって、しらべてきてくれないか。」
「わかりました」そうこたえたリンゴくんはこっそりとお城(しろ)にしのびこみました。
そして、番兵(ばんぺい)を気絶(きぜつ)させ、ろうやにいれられていたトマト姫(ひめ)のろうやの鍵(かぎ)をあけて、すくいだしました。
そのとき、トマト姫(ひめ)から、トマト姫(ひめ)のおかあさんのキュウリ女王(じょうおう)が毒(どく)のはいった食事(しょくじ)をたべて死(し)んだことをききました。
そして、そのこと調(しら)べようとしてろうやにいれられてしまったことも・・。
リンゴくんがトマト姫(ひめ)をつれて、もどると、おとうさんのレモン大臣(だいじん)が胸(むね)をさされてくるしんでいます。
「あ!お父(とう)さん、しっかりしてください。どうしたんですか?」
「いいか、パイナップルに気(き)をつけろ。それにス、ス⋯」
レモン大臣(だいじん)はそういうと、死(し)んでしまいました。
翌日(よくじつ)、いっそう元気(げんき)な足(あし)どりの王様(おうさま)がみんなのまえにあらわれました。
「きょうはみんなに、ざんねんなしらせがある。レモン大臣(だいじん)、それにスイカ将軍(しょうぐん)が死んでしまった。これから、そのふたりと、キュウリ女王(じょうおう)の3にんの葬式(そうしき)をあげねばならない。その費用(ひよう)がかるので、税金(ぜいきん)をふやさねばならない。こころえてくれ。それからあとの大臣(だいじん)はパイナップル公爵(こうしゃく)がなる」とはっぴょうしました。
その時(とき)です。
剣(けん)を手(て)にしたリンゴくんがあらわれ、いいました。「わるものが、王様(おうさま)や女王様(じょうおうさま)を毒殺(どくさつ)し、レモン大臣(だいじん)まで殺(ころ)したんだ。そして、この王様(おうさま)もわるものがばけているのだ。えい!」
剣(けん)をつきさすと赤(あか)い血(ち)がとびました。
「メロン王(おう)なのに、なぜ赤(あか)い血(ち)がでるのだ?このメロン王(おう)はにせものだ。王様(おおさま)にばけてパイナップルとわるだくみをした、こいつはスイカ将軍(しょうぐん)だ!」
こうしてわるものたちはリンゴくんにつかまえられてしまいました。
それからあと、トマト姫(ひめ)とリンゴくんがどうなったか、こんどフルーツ王国(おうこく)をたずねたら聞(き)いてごらんなさい。
きっと、にこにこ、くわしくおしえてくれることでしょう。
(フルーツ王国(おうこく)のおはなしはおしまい)
フルーツ王国(おうこく)では、すっかりわるもののスイカ将軍(しょうぐん)。でも、ほんとうのスイカはおいしいですよね。
『きれい果物あまから菓子』(農文協)より
『からすのやおやさん』(偕成社)より
「3つで7円!
よし、重(おも)いけれど、こどもたちにかっていきましょう。
さあ、みんな、すいかですよー。」
『ももクリチョコレートのあそび』(農文協店より
それにしても大勢(おおぜい)ですね。
答(こた)えは⋯
すいかをきった数(かず)3x2x6🟰36
すいかのたねの数(かず)12x18🟰216
『世界の化学者12か月』(偕成社)より
すいかは漢字(かんじ)でかくと、西瓜。中国(ちゅうごく)の西(にし)の方(ほう)からきたからなのだそうです。
『ももクリチョコレートのあそび』(農文協)より
雨粒(あめつぶ)がすいかだとすると、水蒸気(すいじょうき)が種(たね)の大(おお)きさ。ずいぶん、小(ちい)さいことがこの例(れい)でよくわかります。
『あめ、ゆき、」あられ、くものいろいろ』(農文協)
『ももクリチョコレートのあそび』(農文協)より
「すいかパン」のせつめいはこれでおわりです。
『ももクリチョコレートのあそび』(農文協)より