20. さざえパン


20さざえパン

20 さざえパン


かこ先生が江の島(えのしま)まで歩(ある)いて30ぷんほどのところにひっこしたのは1970年の夏(なつ)のことでした。


そのころ、江の島(えのしま)にいく橋(はし)には、さざえやはまぐりを焼(や)いて、そこでたべられる小さな屋台(やたい)のおみせがたくさんありました。


また島(しま)のなかにも、さざえをうるおみせがあって、かこ先生のおうちのひとが、いきた貝(かい)をかってきて、つぼ焼(や)きをつくったそうです。




さざえはどんなところにいるのでしょうか。

うみのなか1メートルくらいから下の、あまりふかくなく岩(いわ)があるところにいて、ワカメなどの海藻(かいそう)をたべます。

さざえのふたは、あつみがあって、じょうぶで、うずまきもようになっています。きかいがあったら、みてくださいね。

えは『海』(福音館書店)より

縄文時代(じょうもんじだい)の貝塚(かいづか)からも、さざえのかいがらがでてきますので、おおむかしのひとたちもたべていたことがわかります。


さざえは漢字(かんじ)でかくと栄螺とかいたり三三栄とかくこともあるようです。それで三月三日(さんがつみっか)のひなまつりにたべるところもあります

『ことばのべんきょう くまちゃんのかいもの』(福音館書店)より

ところで、炭(すみ)でおゆをわかしてお茶(ちゃ)をたてる茶道(さどう)を知(し)っていますか。

かまどでごはんをたくときのお釜(かま)のふたは木(き)でできていますが、茶道(さどう)でつかう茶釜(ちゃがま)のふたは、かなものでできています。

それで、あけたふたをおくための「ふたおき」もかなものなどでつくったものをつかいます。

茶道(さどう)をきずいた千利休(せんのりきゅう)は、さざえのかたちをした「ふたおき」をつかいました。

えは『こどものカレンダー8がつのまき』より 

ひだり下のしゃしんは、やきものでできたふたおきです。

栄螺(さざえ)の「螺」は、螺旋(らせん)など巻いているもの、巻貝(まきがい)をいみします。

*螺旋(らせん)・・ぐるぐるとうずをまきながら中心(ちゅうしん)におさまってゆくもよう、またはそうしたモノのつくり

さざえには角(つの)がでているものと、でていないものがあるそうですが、日本の原産(げんさん)のさざえは角(つの)があるものだそうですよ。

えは『世界の科学者12か月』より




『どじょっこふなっこの遊び』(農文協)より

『すし 刺身 貝かに塩やき』(農文協)より

さざえの渦(うず)の不思議(ふしぎ)・・フィボナッチ数列(すうれつ)

螺旋(らせん)の話(はなし)がでたところで、すこしさざえの渦(うず)について研究(けんきゅう)をしましょう。

1と1という2つの数(かず)があります。これをたすと2になりますね。こんどは1と2をたします。すると3になりますね。つぎは2と3をたすと5ですね。


このようにできた数(かず)とひとつまえの数(かず)をどんどんたしていきましょう。


3+5=8、5+8=13、8+13=21、13+21=34、21+34=55、34+55=89・・


では、こたえだけならべてみましょう。

1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89・・


このようにある規則(きそく)にしたがってできる数(かず)の連続(れんぞく)を数列(すうれつ)といいます。


この数列(すうれつ)はフィボナッチ数列(すうれつ)とよばれます。


フィボナッチとはこの数列(すうれつ)をかんがえた人の名前です。

フィボナッチ数列(すうれつ)を図(ず)であらわすとどうなるかかんがえてみましょう。

方眼紙(ほうがんし)に定規(じょうぎ)で線(せん)をひいてみましょう。

一辺のながさが1の正方形(せいほうけい)、2の正方形(せいほうけい)、3の正方形)せいほうけい)、5の正方形(せいほうけい)・・をかいていきます。(よこにならべるのではなく、渦(うず)をまくように・・)

一辺(いっぺん)のながさが大きくなると、正方形(せいほうけい)は巨大(きょだい)になるので、方眼紙(ほうがんし)の線(せん)をとって、さいしょの部分つまり1、1、2、3・・のところがみえるようにちょっと拡大(かくだい)してみましょう。

数字(すうじ)は面積(めんせき)ではなく、正方形(せいほうけい)の一辺(いっぺん)の長(なが)さです。

こんどは、これをコンパスで円(えん)のいちぶぶんだけかいてみましょう。赤い線(せん)でえがいてみましょう。

この図(ず)をすこし拡大(かくだい)したのが、みぎの図(ず)です。

すると、あらふしぎ、なんとなくさざえの渦(うず)まきに似(に)てませんか?


さざえのようなまき貝(がい)の渦(うず)はフィボナッチ数列(すうれつ)でできているといわれますが、まき貝(がい)だけではありません。いろんな自然現象(しぜんげんしょう)がこの数列(すうれつ)にもとづいてできていることがけんきゅうでわかってきました。

この数列(すうれつ)と自然界(しぜんかい)の関係(かんけい)は、まだまだ、わかっていないこと、しられていないこと、があるそうですよ。


みなさんも、しょうらい、いろいろとうずまきを研究(けんきゅう)すれば、あたらしい発見(はっけん)があるかもしれませんよ。